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遺産分割とは、相続人全員が参加して、相続財産について「誰が」「何を」「どれだけ」受け継ぐのかを話し合うことを言います。
遺産分割協議には、相続人「全員の参加」が必要で、もし全員が参加しない場合は、その分割協議は、民法上無効とされています。繰り返しになりますが、遺産分割協議のテーマは、個々の相続財産について、①それを取得する者を決めること、②取得する財産の内容を決めることの2点です。
相続人と、相続財産がわかると、いよいよ「どの財産を」「誰が受け継ぐか」を決めていくことになります。この作業が「遺産分割」で、遺産を分割する話し合いが「遺産分割協議」です。
遺産分割とは、何人かの相続人で共有していた遺産を、それぞれの相続分に応じて分配することをいいます。
このように、相続人が複数いるときは、誰がどの財産をいくらの割合で相続するかといった話し合いをして、遺産の分け方を決めなければなりません。
財産は、被相続人の死と同時に自動的に相続人に移転します。しかし、そのままでは、相続人たちは、相続財産全体を共有財産として所有しているにすぎません。個々の財産を各相続人の所有とするためには「遺産分割」をして、名義を各相続人のものに変える手続きが必要です。
民法では、遺産の分割について次のような原則を定めています(この原則で出来なければ、家庭裁判所の調停・審判によります)。
遺言がない場合は、相続人全員が納得すればどのように分けてもかまいません。必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はないのです。遺産を分割する具体的な方法としては次の3つがあります(組み合わせも可能です)。
まずはじめに、よくある誤解をお伝えします。
「法定相続分というのは、法律の提言に過ぎない」ということです。
よく「(父の相続で)母と私一人だから、半分ずつ分けないといけないですよね?」という方がいます。これは、民法という法律で定められている「法定相続分」を意識していると思われますが、実は、法定相続分は、法律の控え目な提言にすぎません。
相続分を具体的に決める場合に、遺言があれば、遺言が最優先されます。さらに、遺言がなくても、相続人全員で、財産をどのように分けるのかを話し合って決めれば(遺産分割協議)、それが優先されます。
ですので、遺言もなく、相続人で決められないときに、はじめて「法定相続分」を基準として、法律が分割協議を提言してくれるのです。
さて、ここから遺産分割協議の話です。
遺産分割協議は、相続財産を分配する場です。先ほどお伝えしましたように、各相続人の取り分の割合は、法律で定められています。たとえば、被相続人に妻と二人の子供がいたとします。このとき、相続人は妻と二人の子供ですが、それぞれが相続財産を取得する割合は、妻が二分の一、子が四分の一ずつです。
しかし、相続人全員の合意によって、法定相続分と異なる割合で相続財産を分けることも許されています。たとえば、遺産分割協議により妻の相続分を四分の一、長男の相続分を二分の一、次男の相続分を四分の一と定めることも可能です。さらに、極端に、長男だけが全部取得して、妻が0、次男が0との割合で分けることも可能で、この場合は、妻と二男が「相続を放棄」したことと同じような結果になります。
※民法が定めている「相続放棄」とは、違いますのでご注意を。
期限はありません。
しかし、相続税の申告期限までに遺産分割ができないと配偶者の税額軽減の特例等が受けられないことがあるため、できるだけ期限内には分割するほうがいいでしょう!
それでは、遺産分割協議で相続人全員の合意が得られず、かつ法定相続分にもよらない場合、各相続人の相続分はどのようにして定めるのでしょうか?
そのようなときには、家庭裁判所の調停または審判をりようすることになります。
「調停」とは、家庭裁判所において相続人全員が話し合いをし、家庭裁判所が各自の言い分を調整して合意に達する手続きです。
「調停」の基本は、相続人間の話し合いによる決着です。
これに対して、「審判」は、普通の裁判所の裁判に近いものです。
家庭裁判所は、相続財産の内容や各相続人の言い分・状況などを総合的に考慮して、個別の相続財産について「誰が、何を、どのような割合で取得するか」を強制的に決定します。
具体的な分割方法は、相続人全員が合意する限り、自由に決定できます。
ただ、実際の分割においては、次のような三つの方法が主に用いられます。
①現物分割
現物分割とは、相続財産全体を構成する一つ一つの財産について、相続人の誰が取得するかを具体的に決めていく方法です。
たとえば、被相続人が残した相続財産が土地・預金・株式・第三者への貸付金であり、相続人がA・B・Cの三人だとします。このとき、現物分割の方法では、A・B・Cが話し合いで、土地はB、預金はA、株式と貸付金はCがそれぞれ取得するというように、個々の財産をそのままの形で相続人のそれぞれに取得させます。
この方法の良い点は、①財産の状況を変更したくない場合、②相続人の各自が取得した財産の価値がほぼ等しくなる場合などです。もっとも、分割の結果、相続人間で取得した財産について価値が大きく違っていても、相続人全員が話し合いで合意したのであれば、もちろんそれでも構いません。
②換価分割
相続財産を売却し、現金にしたうえでそれを相続人間で分け合うという分割方法です。相続財産がすべて現金化できれば、本当の意味で自由な遺産分割協議が出来ることになります。さらに、この方法は相続財産を分割することが困難な場合にも有益な方法です。
たとえば、極端な例ですが、相続財産が「非常に高価な絵画」一点だけだとします。これを現物分割することは事実上不可能です。そんなときに、この絵画を売却し、その代金を相続人間で分け合えば適切な分割が可能となります。
ただ、この方法は、相続人受け継いだ財産をそのままの形で利用したいときには、不向きです。例えば、相続財産が田畑であり、相続人の一人がそこで農業を続けたいときに、田畑を売却してしまえば、被相続人が営んでいた農業を相続人が受け継ぐことはできなくなります。
③代償分割
遺産分割によって価値の高い財産を取得した相続人が他の相続人に対して、その取得した財産との「差額」を支払う方法です。その目的は、分割によって取得した財産の不平等を解消するためです。
しかし、この方法を用いるためには、価値の高い財産を取得した相続人が「自らの資金」で他の相続人に対して、「差額」を支払えるだけの金銭的余裕があることが必要となります。
遺産は、相続人が複数いれば、遺産分割協議が成立するまで、共同相続人で共同所有することになります。では、次の場合はどうなるのでしょうか?
ある人が死亡したのに、相続人がいるのかいないのかはっきりしないとか、いることはいるのだが行方が知れないときは、遺産は「法人」として取り扱われます。法人になるということは、遺産が独立の財産として扱われるという意味です。
相続財産は全部、国のものになるのでしょうか?
そうとは限りません。死んだ人に特別の縁故のある者がいるのであれば、いきなり遺産を国庫に組み入れてしまうより、まずその縁故のある人(特別縁故者)に財産を与えることを考えるようになっています。
数名の死亡者のうち、誰が先に死んだのか分からないときは、民法はそれらの者は「同時に死亡」したものと定めています。死亡の前後によって相続の形ががらりと違ってしまうことがあるためです。
法定相続とは、遺言のない場合や相続人間で話し合い(遺産分割協議)がつかない場合の相続です。
法律で相続分を定めていますが(法定相続分)、遺言で法定相続人以外の人に財産を譲ることができたり、相続分を法定相続分とは別に決めることもできます。ただし、法定相続人の一定の人(兄弟姉妹以外の相続人)には遺留分というものがあり、保護されていますので注意が必要です。
相続人の間で合意があれば、法定相続分に従わないで自由に分割することもできます。
ですから、相続人の中の特定の人に相続分の全部を単独相続させることもできるのです。この場合には、贈与税は課税されません。
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